赤木恵子「うたの会」

メゾソプラノ:赤木恵子 ピアノ:本多裕子

やなか音楽ホール(東京・谷中)
西日暮里駅(JR・東京メトロ千代田線)徒歩4分
2012年10月27日(土)
14時開演(13時30分開場)

お礼とご報告
 コンサート<赤木恵子「うたの会」>はアットホームな雰囲気の中で行なわれ、無事に終えることができました。また、皆さまからのチケット代の一部を日本赤十字社東日本大震災義援金への寄付として使わせていただきましたことをご報告させていただきます。手続きは、10月29日、那須赤十字病院医療社会事業部社会課を通して実行致しました。
 皆さまのご理解とご協力に、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 


赤木恵子「うたの会」

<当日のプログラム>

① リンゴ園の少女(詞:藤浦洸 曲:米山正夫)
(挨拶)
② 月見草の花(詞:山川清 曲:山本雅之)
③ 花かげ(詞:大村主計 曲:豊田義一)
④ 灯台守(詞:勝承夫 曲:イギリス)
(トーク)
⑤ さより(詞:北原白秋 曲:團伊玖磨)
⑥ 秋の野(詞:北原白秋 曲:團伊玖磨)
(トーク)
⑦ 島へ(詞:井沢満 曲:武満徹)
⑧ 明日ハ晴レカナ、曇リカナ(詞・曲:武満徹)
(トーク)
⑨ ラルゴ(訳詞:堀内敬三 曲:ヘンデル)

ーー休憩ーー
⑩ 恋人よ(詞・曲:五輪真弓)
⑪ ふれあい(詞:山川啓介 曲:いずみたく)
(ピアノ:赤木恵子)
(トーク)
⑫ もみじ(詞:高野辰之 曲:岡野貞一)
⑬ 汽車(詞:不詳 曲:大和田愛羅)
⑭ 青い山脈(詞:西條八十 曲:服部良一)
(トーク)
⑮ 願はくは<「山家集」より>( 歌:西行法師 曲:名倉晣)
⑯ 波浮の港(詞:野口雨情 曲:中山晋平)
⑰ 新庄節(山形県民謡)
(挨拶)
⑱ 死んだ男の残したものは(詞:谷川俊太郎 曲:武満徹)
<アンコール曲>
⑲ リンゴ追分(詞:小沢不二夫 曲:米山正夫)
<みんなで合唱>
⑳ ふるさと(詞:高野辰之 曲:岡野貞一)

*⑫⑬⑭⑳ は出演者、観客のみんなで合唱

 


思い浮かべる情景 

赤木恵子

 武満徹の曲をコンサートで歌うようになったのは8年ほど前からである。2009年に出した『赤木恵子うた集』にも3曲入っている。
 曲からイメージした情景を思い浮かべながら、自分なりの〝うた〟をつくりあげるのだが、2011年3月11日の東日本大震災、そしてあの原発事故を境に、思い描く情景も、歌うときの心情も大きく変わった。
 私は、55歳のとき、福島県郡山市の学校で音楽を学んだが、いっしょに勉強した若いクラスメートの大半は福島県内の娘さんたちだった。
 結婚や出産を控えた、あるいは子育て中のかつての級友たちが、先の見えない、終わりのない原発事故によって、どれだけ苦しみ、不安な日々を送っていることか。
 電話の向こうで泣いている彼女たちに、何をどう言えばいいのかわからず「ごめんネ、私のうちの電気は東電なのごめんネ」。
 そんなことしか言えない自分。
 とり返しのつかない結果を生む危険なものを、「日本の技術では起こりえない」と思い込んだまま、それについて深く知る努力もせず、経済優先を口では否定しながら何ら行動を起こさず見過ごしてきたことへの後悔、自責の念、そしてうしろめたさが、あれ以来ずーっと私のなかにすみついている。
 半年ほどしてようやくCD制作に向けての練習を再開したが、心に浮かぶ情景は震災前とは大きく違っていた。
 原発事故後の2011年3月18日、放射性物質から逃れようと、那須のわが家の玄関に、マスクをした3歳の女の子を連れて立っていたかつてのクラスメートの、不安と恐怖に満ちた真っ青な顔。
 2か月あまり経った5月21日、避難先の仙台から半壊した自宅に戻った南相馬の友人を訪ねた。道中、緑の風景を左右に見ながら車を走らせていたのに、いきなり苗の植えられていない田んぼが続いて、そこには打ち上げられて横倒しになったままの何隻もの漁船が……。福島第一原発から25キロ地点の原町の道の駅では白い防護服に着替えている、無言の自衛隊の人たち。
 おいしい魚を食べに度々訪れていたいわき市の海辺の町は、震災から7か月後に行ったときには跡形もなく、生い茂った雑草の間から家々の土台の部分らしきものがわずかに見え、そこにじっと立って海を見つめる人の後ろ姿。
 歌いながら浮かぶのはそうした光景だった。
 このアルバムのピアノ伴奏者、本多裕子さんは福島県二本松市に住む、音楽科の同級生。伴奏合わせの際、震災のことには触れないようにしていたのに、あるとき、ひと休みしなながらつい原発の話になってしまった。話しているうちに彼女は泣き出した。帰路についた彼女に「つらいことを話題にしてゴメンね」とメールを入れた。すぐに返信があった。
「いいえ、福島のことをまだ思ってくれている人がいることがうれしい。私たちにとっていちばんこわいのは忘れられてしまうことです」
 1992年発行の拙著『三途の川は大洪水!』のなかの一編に、私はこう書いている。
<「核エネルギーの平和利用」という言葉を聞くとつい条件付きで肯定しがちになるが、それは言葉の欺まんのように思えてならない。現に事故は起きている。アメリカのスリーマイル島の原子力発電所の事故、さらに記憶に新しいところでは、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故……。絶滅への不安は尽きないのだ――。>
 書き続けるべきだった。            

 2012年8月

プログラム表4掲載(CDアルバム『赤木恵子「武満徹うた曲集」』ブックレットより転載)  


コンサート情報

■第9回 横手語りのまつり
 第2部にゲスト出演
■横手ふれあいセンター「かまくら館」ホール(秋田県横手市)
■2017年9月17日(日)
13時開演

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■武満徹没後20年企画 
赤木恵子「武満徹うた曲集」リサイタル
■二本松市コンサートホール
■2016年10月23日(日)
13時30分開演

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■赤木恵子チャリティーうたコンサート
■二本松市コンサートホール
■2013年5月19日(日)
14時開演
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■赤木恵子「うたの会」
■やなか音楽ホール(東京・谷中)
■2012年10月27日(土)
14時開演
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■赤木恵子メゾソプラノ・リサイタル
■音楽の友ホール(東京・神楽坂)
■2010年5月15日(土)
14時開演
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CD発売情報

赤木恵子「武満徹うた曲集」②ぽつねん〜さようなら
CDアルバム/TTSCA 6003
2000円+税
2014年12月11日発売

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赤木恵子「武満徹うた曲集」
CDアルバム/TTSCA 6002
2000円(税込)
2012年9月20日発売
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赤木恵子うた集〜童謡・唱歌・歌曲・歌謡曲・民謡〜
CDアルバム/TTS60- 01
3000円(税込)
2009年7月発売
詳細はこちらLinkIcon

死んだ男の残したものは/三月のうた
CDシングル/TTS60- 11
1200円(税込)
2010年4月発売
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